肛門垂
【肛門垂(別名:infantile perianal pyramidal protrusion、乳児肛門周囲錐体状突出、尖兵ポリープ)】
「肛門垂」はいくつかの別名がありますが、ここでは肛門垂と統一して表記します。
肛門垂は、乳幼児の肛門の12時方向(会陰部側)に発生するピラミッド状、舌状の突起物です。特に女の子の赤ちゃんによく見られます。おむつ替えや沐浴の時などに気づき、「赤ちゃんがいぼ痔になったのでは」「悪いポリープではないか」と驚かれて受診される親御さんが多いですが、触っても痛がることは少なく、良性の皮膚の突起です。
なお、成人に生じる「肛門皮垂(スキンタグ)」と呼ばれる疾患もありますが、今回解説する乳幼児に好発する「肛門垂」とは別物です。
肛門垂が発症する誘因
この突起物ができる明確な原因はすべて解明されているわけではありませんが、主に以下のようなことが引き金(誘因)になると考えられています。
・便秘と排便時のいきみ: 硬いウンチを出そうと強くいきむことで、肛門の前側の組織に圧力がかかり、局所がうっ血して腫れ上がるとされています。これが最も多い誘因です。
・乳幼児特有の構造: まだ肛門周辺の組織や筋肉が未発達なため、便を押し出すときの力が特定の部位(12時方向)にかかりやすいことが関係していると言われています。
・先天的な要因: まれに、生まれた時からすでに突起が存在するケースもあります。
肛門垂の治療方法と経過
結論から申し上げますと、痛みや赤く腫れるなどの症状がなければ、「特別な治療は必要なく、経過観察」で問題ありません。
・自然軽快します: 突起物は、お子さんの成長とともに自然と平坦になり、数年のうちに目立たなくなっていく(自然軽快する)ことがほとんどです。そのため、局所麻酔をして切除するような外科的な処置は基本的には行いません。
・便秘のコントロールが大切: 排便時の「いきみ」が突起を維持させる原因になるため、便秘の解消が一番の予防・治療になります。便が硬い場合は、便を柔らかくするお薬を処方し、排便をスムーズにするお手伝いをします。
・局所のスキンケア: 突起部分がおむつや便と擦れて、赤くかぶれたり炎症を起こすことがあります。その場合は、炎症を抑える塗り薬や保護用の軟膏を処方いたします。
おむつを替えるたびに目につくためご心配になるかと思いますが、決して珍しい病気ではなく、焦って治す必要のないものです。便秘のご相談も含めて対応いたしますので、気になる症状があればいつでもご受診ください。
