皮膚の病気(その他)

脂漏性皮膚炎の治療

秋から冬にかけて悪化しやすい脂漏性皮膚炎について解説します。
脂漏性皮膚炎は症状がおさまっても、外用を中止するとしばらくして症状が再燃することが多い病気ですが、その都度の治療と適切な生活習慣でコントロール可能です。

脂漏性皮膚炎とは?

脂漏性皮膚炎とは、毛穴からでる脂(あぶら)が多くなり、皮膚炎を起こす病気です。
脂漏性皮膚炎の「脂漏(しろう)」とは、脂が多く分泌されるという意味で、主に頭の生え際、顔の鼻周り、おでこなどが脂漏部位として知られています。
そのため、脂漏性皮膚炎の約9割は頭部、顔面に生じます。
また、ワキ、股、体幹に脂漏性皮膚炎が生じることもあります。

脂漏性皮膚炎の好発部位(黄色)

脂漏性皮膚炎は、新生児・乳児期におこる「乳児型」と、思春期以降にみられる「成人型」に大きく分かれます。
「乳児型」は、成長するとともに自然治癒し、一過性に終わります。
「成人型」は一般的に40歳以降の男性に多く、良くなったり悪くなったりを繰り返して慢性に経過します。

脂漏性皮膚炎の悪化原因

マラセチア

脂漏性皮膚炎はマラセチア菌という真菌(カビ)の関与が知られています。
マラセチア菌は皮膚の常在真菌で、つまり皆が皮膚の上で持っている真菌(カビ)です。
通常は悪さをしませんが、マラセチア菌は皮脂を栄養源として増殖するため、脂漏部位で増えて、その過程で産生される物質が皮膚を刺激して皮膚炎をおこします。

乾燥

主に秋から冬にかけて乾燥季節に脂漏性皮膚炎の患者さんが増えることが知られています。

ビタミン不足

脂漏性皮膚炎の患者さんは、ビタミンB群(特にB2、B6)が不足しているという報告があります。ビタミンB群は、マグロ、豚肉、レバー、ハツ、貝類、魚卵、牛乳、卵、 ほうれん草、バナナなどに多く含まれます。

その他

その他、肥満、化粧品、肥満、喫煙などの因子が脂漏性皮膚炎の発症や悪化に関連していると言われています。

治療

ステロイド外用薬

炎症をおさえる薬です。たくさんの種類と強さがありますので、自己流の使用法はせずに皮膚科医にご相談ください。

抗真菌薬

真菌(カビ)に対する薬です。
脂漏性皮膚炎では「マラセチア菌」をターゲットに使用します。
症状が軽ければ抗真菌薬のみ治療可能ですが、通常はステロイド外用薬と併用することが多いです。

抗ヒスタミン剤(内服)

かゆみが強い場合に上記塗り薬と併用することがあります。

生活上の注意点

ゴシゴシ洗いは禁!
頭皮が汚いからフケが出ると思い、ゴシゴシこすったりして洗髪する方がいますが炎症を起こして悪化する可能性がありますので、やさしく洗いましょう。
洗顔も同様で、ソープの泡でやさしく洗います。

洗顔

洗顔は1日2回(朝はぬるま湯のみで洗顔、夜はソープを使うことを推奨)、洗髪は1日1回が基本です。
市販の抗真菌薬を含有するシャンプー(持田製薬「コラージュフルフル」)が予防に有効なこともあります。医薬部外品として薬局で市販されています。

暴飲暴食を避けて、バランスのよい食事を心がけましょう。
ビタミンB群(特にB2、B6)を積極的にとりましょう。マグロ、豚肉、レバー、ハツ、貝類、魚卵、牛乳、卵、 ほうれん草、バナナに多く含まれます。
また、皮脂分泌を促進する糖分の多い食事、アルコールの過剰な食事は控えましょう。

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