ニキビ治療薬の「過酸化ベンゾイル(benzoyl peroxide: BPO)」について解説します。
先発品は「ベピオ®」という名称です。
医師の処方でしか手にすることができません(医療用医薬品)。
とても素晴らしい塗り薬ですが、いくつかの注意事項を知っておかねばなりません。
コメドを減らす塗り薬
以前の記事で、ニキビは「コメド」からできることを解説しました。
過酸化ベンゾイルは、コメドをできにくくする塗り薬です。
具体的には、毛包の開口部の皮膚を軽く剥離させる(ピーリング作用)ことで、皮脂の詰まりを生じさせなくします。
それに加えて、抗菌作用も有しています。
継続でニキビ体質を改善!
過酸化ベンゾイルはとても良い薬で、アダパレンと並んでニキビ治療のキードラック(重要な薬)だと思います。
ただし、数日塗ったらおしまいという薬ではありません。
効果が実感できるまでおおよそ2~3カ月かかります。
2~3カ月は長いと思われるかもしれませんが、根気強く治療を続けることで、ニキビができにくい肌を目指すことができます。
もう少し大胆に言い換えれば、ニキビ体質を徐々に改善する塗り薬と言えるかもしれません。
継続してニキビ体質を変えていきましょう!
初期の刺激反応
過酸化ベンゾイルの副反応として、刺激反応がでます。
具体的には淡い赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などです。
特に初期の1~2カ月は刺激反応が目立って出ます。
次第に刺激反応がでなくなりますので、この時期をしっかり乗り切る必要があります。
刺激感が強ければ、早めに洗い流して、徐々に慣れていきましょう。
注意すべき副作用:かぶれ数%
過酸化ベンゾイルは、日本人において2~3%の方がかぶれ(接触皮膚炎)を起こすと言われています。
接触皮膚炎を起こすと強い赤み、かゆみ、ジュクジュクしたひどい腫れがあらわれます。
その場合は、すぐに使用を中止し、ご相談ください。
副作用対策
少ない量、狭い範囲から塗る
使いはじめは少ない量、狭い範囲から始めるとよいでしょう。
はじめは10円玉大くらいでかまいません。
塗る量と範囲を少しずつ増やし、数日かけて慣らしていきます。
強い赤み、かゆみがでたら、かぶれている可能性があるので中断し、ご相談ください。
保湿する
刺激反応の軽減のため、保湿や化粧水を一緒に塗りましょう。
洗い流す
ヒリヒリとした刺激を感じたらお薬を水で洗い流すとよいでしょう。
塗り方
1日1回、洗顔後に塗ります。
目や口唇、粘膜、傷口のまわりには塗らないで、こすらずやさしく塗ります。
はじめは10円玉大から塗り始めて、徐々に刺激反応に慣らします。
最終的に1FTUの量を顔全体に塗ることを目指しましょう。
順番は、洗顔、保湿、過酸化ベンゾイル(ベピオ®)、(処方があれば抗菌薬の外用剤、)日焼け止め、メイクの順が一般的です。
そのほかの注意事項
- 脱色にご注意:脱色作用があるため、髪や眉毛に付かないようにしてください。お薬が付く可能性のある衣類、寝具、タオルは白色を選ぶとよいでしょう。
- 過酸化ベンゾイルの使用中は、刺激を感じやすいため日やけ対策をしてください。
- 25℃以下で保管する。