ニキビ治療薬の過酸化ベンゾイルである「ベピオ」。
今まではゲル製剤の「ベピオゲル」しかありませんでしたが、2023年5月31日にローション製剤の「ベピオローション」が発売されました。
マルホ株式会社が試行錯誤して作ったローションで、ゲルよりも塗り心地がよく、かつ副作用が少ない製剤です。
しっとり広がる!
![](https://hk-hifu.com/wp-content/uploads/2023/06/5a57388329a0f0235efc9d2936315493.jpg)
新しく発売されたベピオローションは、ベピオゲルよりも『しっとりとした使用感で、かつ適用部位に塗り広げやすい製剤』です。
この使用感を達成するために、発売元のマルホ株式会社は『HARMOWELL® Moisture Technology』という独自の製剤化技術を開発して作り上げたそうです。
![](https://hk-hifu.com/wp-content/uploads/2023/06/d0e0ded2be9b6c35aa303174ab8933b1.jpg)
左が従来のベピオゲル、右が新発売のベピオローションです。
パッと見はゲルもローションも似ています。
ローションというとサラッとした化粧水のようなイメージかもしれませんが、ベピオローションは乳液のようなイメージです。
下の画像のように傾斜をつけるとベピオローションの方が早く流れていきました。
実際に塗ってみると、ゲルは少しヒヤっとした塗り心地ですが、ローションはしっとりします。
ここが大きな違いだと思います。
保湿力がアップ
ローション製剤は、ゲルよりも保湿能に優れています。
スクワランという保湿成分が含まれており、使い心地がよいです。
![](https://hk-hifu.com/wp-content/uploads/2023/06/bepio_moisturizing_ability_chart01.gif)
図:マルホ株式会社のホームページより
副作用が低減
副作用の刺激感を生じる割合が、ゲルと比べて約1/3まで低減されました。
過酸化ベンゾイルは「かぶれ(接触皮膚炎)」を起こすと中止しなければなりません。
ただ、「かぶれ」と「刺激症状」の区別に悩むことがしばしばあります。
本来は「刺激症状」で中止する必要がなかったのに、「かぶれ」として判断されて中止になることもあります。
ベピオローションが発売されたことで、「かぶれ」に間違われることが少なくなり、今まで以上にスムーズに導入ができるようになりました。
過酸化ベンゾイルの作用
過酸化ベンゾイルは、(1)角層剥離作用によりコメドに対して効果を発揮し、(2)アクネ菌などの細菌に対する抗菌作用も有しています。
詳しくは過去のブログをご参照ください。
![](https://hk-hifu.com/wp-content/uploads/2023/06/blog-a197-940_600.jpg)
2022.02.12
ニキビ治療薬「過酸化ベンゾイル」
ニキビ治療薬の「過酸化ベンゾイル」について解説します。...
新薬ではないのでインパクトを感じられない方もいるでしょう。
しかし、今回のローション製剤は皮膚科医にとって「はがねの剣」が「はやぶさの剣」になった!みたいなもので(ドラクエ世代にしか通用しない例え……)、とても嬉しい新発売の製剤です。