アクセス
ホーム
サイトマップ
オンライン順番予約

アトピー

アトピー性皮膚炎と食事

アトピー性皮膚炎の患者さんから、診察室で最も多くいただく質問の一つ。
それは「食事はのせいですか?」「食事は何に気をつけたらいいですか?」というものです。
このページでは、医学的に分かっている「アトピー性皮膚炎と食事の関係」について分かりやすく解説してたいと思います。毎日の食卓の見直しにご活用ください。

【ご注意】 記載内容は原則の解説です。実際は、診察に基づいた医師の判断を優先してください。

【まとめ】アトピー性皮膚炎と食事

・「除去」より「食事のバランス」を考える
・「いわゆる和食・地中海食」が理想的な食事
・明確な食物アレルギーが診断された場合のみ除去
・推奨する食材:オメガ3脂肪酸、プロバイオティクス、プレバイオティクス
・注意が必要な食材:香辛料・刺激物・アルコール、仮性アレルゲン、オメガ6脂肪酸

アトピー性皮膚炎と食事の「距離感」を知る

まず大前提としてお伝えしたいのは、「アトピー性皮膚炎は、食事だけで治る病気ではない」ということです。しかし同時に、「食事は、皮膚のコンディションを大きく左右する重要な因子である」ことも事実です。

「原因」なのか「悪化因子」なのか

多くの方が混同されがちなのが、「食物アレルギー」と「アトピー性皮膚炎」の関係です。
乳幼児期においては、確かに食物アレルギーがアトピー性皮膚炎に関与しているケースがあります。しかし、学童期以降や大人のアトピー性皮膚炎において、特定の食べ物が「直接の原因」となっているケースは、実はそれほど多くありません。
むしろ、大人の場合は「偏った食生活」や「特定の食品の摂りすぎ」が、痒みを増強させる「悪化因子」として働いていることが多いのです。

まずは「除去」より「食事のバランス」を考える

「アトピーの食事」というと、「何を食べてはいけないか(制限)」ばかりに目が行きがちです。しかし、大前提として「健康な体を作る材料が足りているか(摂取)」という視点です。アトピー性皮膚炎だけに視点を向けて、非健康的な食事をするのは本末転倒です。アトピー性皮膚炎に良い食材だからといってそればかり摂取していては、健康にはよくありません。「食事のバランス」を考えて献立を考えましょう。

アトピー性皮膚炎の患者さんが避けるべき具体的な食品は、原則として「明確な食物アレルギーが診断された場合のみ」限定されると考えてください。
無根拠な除去は避け、バランスの取れた食事が推奨されます。

以上の前提を踏まえた上で「推奨する食材」「注意が必要な食材」をご紹介します。

推奨する食材

オメガ3脂肪酸

私たちが摂取する「油(脂質)」には、炎症を促進するものと、抑えるものがあります。
オメガ3脂肪酸は、炎症を抑制する油です。
・炎症を抑える油(オメガ3): 青魚(EPA・DHA)、亜麻仁油、えごま油

オメガ3脂肪酸の画像
プロバイオティクス(菌を摂る)

乳酸菌やビフィズス菌などを含む食品を摂取します。
・ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品などです。

※ ただし、キムチなどの刺激物は痒みを誘発する場合があるため注意が必要です。また、塩分の高いものが多いので塩分の過剰摂取に注意、ヨーグルト(乳製品)が合わない方もいますので食べて調子が悪くなる場合は控えましょう。

プレバイオティクス

善玉菌のエサとなる食事(食物繊維など)を摂取します。
健康に良い影響を与える「菌そのもの」を指すプロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)とは異なり、プレバイオティクスは「すでに腸内にいる善玉菌を増やし、活性化させる成分」を指します。
高繊維・高カロテン食(野菜や果物の摂取増加)は、腸内細菌叢の改善し、アトピー性皮膚炎の症状を軽減させる可能性が示唆されています。
・オリゴ糖: 玉ねぎ、ごぼう、アスパラガス、バナナ、大豆、はちみつ
・水溶性食物繊維: 海藻類(わかめ・昆布)、オクラ、長芋、大麦

注意が必要な食材

ここからは、逆に「控えたほうがよいもの」について解説します。絶対に食べてはならないというものではありませんが、摂取量には注意をしましょう。これらはアレルギー反応ではなく、体の生理的な反応として痒みを引き起こす可能性があります。

香辛料・刺激物・アルコール

唐辛子などの激辛料理は、発汗を促します。同様に、お酒を飲むと体が温まり、血行が良くなります。これは健康には良いことのように思えますが、アトピーの方にとっては「痒みのスイッチ」が入ることを意味します。また、アルコールの分解過程で生じるアセトアルデヒドは、ヒスタミン(痒み物質)の放出を促します。症状が強い時期は、禁酒または節酒が望ましいです。

仮性アレルゲン(ヒスタミンを多く含む食品)

アレルギー検査では陰性なのに、食べると痒くなる。そんな時は食品そのものに含まれる「ヒスタミン」が原因かもしれません。ヒスタミンは、かゆみを引き起こす代表的な物質です。これらは「食べてはいけない」わけではありませんが、痒みがひどい時期には少し摂取量を控えて様子を見るのも一つの手です。
・仮性アレルゲンを含む食材: 鮮度の落ちた魚、ほうれん草、ナス、タケノコ、トマト、チョコレート、チーズ、赤ワインなど

オメガ6脂肪酸

上述したオメガ3脂肪酸は炎症を抑制する油ですが、一方、オメガ6脂肪酸は炎症を促進しやすい油で、避けるべき油です。
・炎症を促進しやすい油(オメガ6): サラダ油、コーン油、スナック菓子や加工食品の揚げ油(リノール酸)

食事のスタンス

理想は和食・地中海食

アトピー性皮膚炎に推奨する食材、注意が必要な食材を紹介してきました。これらをふまえて、一言で理想の食事を表すなら「いわゆる和食・地中海食」がイメージとして推奨される食事スタイルです。

和食のイメージ画像
地中海食のイメージ画像


和食と言っても、ラーメンのような最近の食文化ではなく、「脂質が少ない」「発酵食品や野菜、魚を多用する」「一汁三菜」「四季(旬)の素材」「素材の旨味を生かした食事」といったイメージの和食です。
地中海食も同様で、「植物性食品(野菜、果物、豆類、ナッツ、全粒穀物)が中心」 「油はオリーブオイル主体」「魚介類・乳製品が主体で少量のお肉」といったイメージになるかと思います。

一方、西洋型の食事、いわゆるファストフードや高炎症性食はアトピー性皮膚炎の病状を悪化させると考えられています。

除去する食事は、明確なアレルギーが証明された食事のみ!

摂食をしない(除去)食事内容については、必ず医師に相談してください。
アトピー性皮膚炎の患者さんが避けるべき具体的な食品は、原則として「明確な食物アレルギーが診断された場合のみ」限定されると考えてください。
医学的な根拠のない極端な食事制限は、かえって症状を悪化させたり、健康を損なったりするリスクがあります

無理なく継続を!

食事を見直すことは素晴らしいことですが、「あれもダメ、これもダメ」と厳格に制限しすぎて、食事の時間が苦痛になったり、ストレスを溜め込んだりしないようにしましょう。
せっかくの食事も、続かなければ意味がありません。

こちらに記載した「推奨する食材」「注意が必要な食材」を全て守らなくても構いません。自分が取り入れやすいことから、少しずつ試していくことが重要です。また、自分に合わないと思う食事を無理に続ける必要はありません。

長く続けられるバランスの良い食生活を目指してください。


参考文献

1) Clin Dermatol 40: 135-144.2021
2) Antioxidants (Basel). 25;14(4):386., 2025

関連記事

最近の記事
  1. アトピー性皮膚炎と食事

  2. ビラノア(ビラスチン)を「空腹時」のタイミングで飲むコツ

  3. モンドール病について