帯状疱疹が近年、増加傾向にあります。
診療している実感としても増えていると思いますし、若い年代の方の罹患も比較的多くみられています。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスでおこる病気です。
子供の頃に「水痘(みずぼうそう)」にかかると(初感染)、その後ウイルスは神経の奥の方で眠った状態になります(潜伏感染)。
ウイルスに対する抵抗力が低下したとき、水痘・帯状疱疹ウイルスが目覚めて、帯状疱疹を起こします(再感染)。
帯状疱疹の初期では痛みが先行することが多く(およそ5割くらいの方は痛みが先行します)、皮膚に症状が出ていないことが多いです。
その後、皮膚に赤味がでて徐々に水疱が出てきます。
水疱は時間が経過するとカサブタ(痂疲)になり、治癒します。
水疱が深く形成されると、ときには炎症後の色素沈着や脱失が残ることがあります。
一般的に3ヵ月以上痛みが残ると帯状疱疹後神経痛といわれます。
およそ1~2割の方が帯状疱疹後神経痛になります。
なぜ今、帯状疱疹は増えているのか?
帯状疱疹の増加の理由の一つは、子供が「平成26年(2014年)10月より水痘ワクチンが定期予防接種になった」ことが一因と言われています。
水痘ワクチンが定期接種になると、水痘になるお子さんがほとんどいなくなります。
水痘にかかったお子さんは、ウイルスを周囲に拡散していますので、周りにいた大人はそのウイルスの暴露をうけて水痘・帯状疱疹ウイルスの抵抗力が上がります(ブースター効果)。
抵抗力が上がれば、帯状疱疹を発症しにくくなったわけです。
ところが、水痘になるお子さんがいなくなるとウイルスに暴露されなくなるため、徐々にウイルスに対する抵抗力が低下します。
こうして帯状疱疹になりやすいくなります。
ほかにも、皆さんが長生きするよになったこと、3世代大家族が減少して水痘になるお子さんと触れ合う高齢者が少なくなっていることなどが考えられます。
帯状疱疹は、昔の教科書には「生涯に1回しか罹患しない病気」と記載されているものもありますが、最近では2回目、3回目と複数回罹患される患者さんも増えています。
帯状疱疹の予防のワクチン
ワクチンばかりで嫌になってしまう方も多いかもしれませんが、感染症の歴史を考えると、ワクチンが人類にもたらしメリットは計り知れないものがあります。
50歳以上の方は帯状疱疹のワクチンの接種ができます。
当院では帯状疱疹のワクチンを取り扱っていますので、ぜひこの機会にご検討ください。