アトピー性皮膚炎のコレクチム軟膏について解説いたします。
【まとめ】
・JAK阻害薬の軟膏です
・塗り続けると徐々に効果がでます
・ステロイド外用薬のような皮膚の菲薄化、毛細血管拡張の副作用はまずありません
・主な副作用はニキビ、毛包炎
コレクチム軟膏の承認の歴史

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)は、世界発のJAK阻害薬の外用剤です。
2020年3月にコレクチム軟膏0.5%が承認され2020年6月に発売されました。
このときはまだ16歳未満の患者さんには安全性が確認されていませんでした。
その後、2歳以上16歳未満の小児の臨床試験が行われて効果と安全性が確認されたため、2021年3月に承認、2021年6月にコレクチム軟膏0.25%が発売されました。
そして生後6ヵ月以上2歳未満のアトピー性皮膚炎の患者さんの臨床試験の結果、効果と安全性が確認されたため、2023年1月からコレクチム軟膏の添付文書の記載が変更されました。
コレクチム軟膏の機序
コレクチム軟膏はJAK阻害薬という薬剤です。
アトピー性皮膚炎の炎症は、炎症を起こすシグナルがJAK/STAT経路を介して伝わり生じるます。そのため、JAK阻害薬はJAKを阻害することで炎症を抑える働きがあります。
使い方
1日2回、適量を患部に外用します。
適量は以前解説したFTUを参考に塗ります。

1回あたりの塗布量は5gまでです。
効果と副作用
コレクチム軟膏はステロイド外用剤ほどの即効性と効果は期待できませんが、塗り続けることで徐々に効果が発揮されます。
また、副作用はその分少ない印象で、主な副作用はニキビ、毛包炎です。
なによりもステロイド外用剤でみられる皮膚委縮や毛細血管拡張はまずみられず、プロトピック軟膏(タクロリムス軟膏)のような刺激感がまずでないという点では、非常に使いやすい軟膏です。状況を選べば効果的に使用できると思います。
そして生後6ヵ月以上の小児に安全性が確認されて、添付文書が改定されたので、大変使いやすくなったと思います。
アトピー性皮膚炎の治療選択肢がどんどん増えてきており、本当に喜ばしいことです。
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※ 2025年2月に修正いたしました。