アトピー

アトピー治療の「モイゼルト軟膏」

アトピー性皮膚炎の治療薬が年々増えています。
前回、コレクチム軟膏を紹介したので、今回はモイゼルト軟膏です。
発売からまだ1年も経過していない新薬です。

モイゼルト軟膏の承認の歴史

モイゼルト軟膏(ジファミラスト)は、日本初となるホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤の外用薬です。
2021年9月に承認され、2022年6月に発売されました。
ステロイド外用剤や免疫抑制外用剤とは異なる新しい作用をもつ塗り薬です。

モイゼルト軟膏の機序

PDE4は、炎症を抑える信号を分解して、炎症を増幅してしまう酵素です。
モイゼルト軟膏はこのPDE4を阻害することで、炎症を抑える信号の作用を増強し、アトピー性皮膚炎の炎症を抑えます。

使い方

1日2回、適量を患部に外用します。
適量は以前解説したFTUを参考に塗ります。

現在のところ、年齢に応じて以下のように使い分けます。
● モイゼルト軟膏1% 16歳以上の成人むけ
● モイゼルト軟膏0.3% 2歳以上の小児むけ
小児は症状に応じて、1%を使用することができます。

プロトピック軟膏(タクロリムス)、コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)と異なり、1日あたりの塗布量の制限はありませんので、湿疹の範囲に応じて適量を外用することとなります。

効果と副作用

モイゼルト軟膏はコレクチム軟膏同様に残念ながらステロイド外用剤ほどの即効性と効果は期待できません
ですが、副作用はその分少ない印象です。主な副作用は毛包炎、色素沈着、そう痒、ざ瘡(ニキビ)です。
コレクチム軟膏と同様に状況を選べば効果的に使用できると思います。

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