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OTC医薬品

市販の解熱鎮痛薬、皮膚科医が「アリルイソプロピルアセチル尿素」を避けてほしい理由!

今日は、ドラッグストアで市販薬(OTC医薬品)を選ぶ際、ぜひ皆さんにチェックしていただきたい「ある成分」についてお話しします。
その「ある成分」とは、解熱鎮痛薬(総合感冒薬)に含まれることがある「アリルイソプロピルアセチル尿素」です。

【まとめ】OTC医薬品に含まれる「アリルイソプロピルアセチル尿素」について

・日本の市販薬の解熱鎮痛薬に含まれることがある
・「固定薬疹」を起こす代表的な成分
・海外ではほとんど使われていない(旅行などでの携帯に注意)
・痛み止めの主成分だけで十分効くため、配合する必然性が低い(院長私見)


私は皮膚科専門医として、常々『製薬メーカーには「アリルイソプロピルアセチル尿素」の使用を自主的に控えてもらいたい』と願ってきました。なぜそこまで強く思うのか、その理由を説明します。

アリルイソプロピルアセチル尿素とは?

日本の市販の解熱鎮痛薬(総合感冒薬)には、メインの成分である解熱鎮痛薬(イブプロフェンやロキソプロフェンなど)に加えて、「アリルイソプロピルアセチル尿素」が配合されていることがあります。

これは「鎮静催眠成分」の一種で、脳の興奮を抑えて痛みによるイライラを和らげる作用があります。海外では「Apronal(アプロナール)」とも呼ばれます。

しかし、ここで大きな疑問があります。「この成分は、本当に必要なのでしょうか?」

医師が使う薬には、ほとんど「入っていない」

私たち医師も、頭痛や発熱の際に解熱鎮痛薬(ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンなど)を処方します。しかし、市販の鎮痛薬によく含まれる「アリルイソプロピルアセチル尿素」という鎮静成分は、処方薬にはほとんど含まれていません。それでも皆さまの痛みや熱は十分に和らぎますよね。

例外として、この成分を含む配合薬「SG配合顆粒」も存在しますが、当院では原則として処方しておりません。
お薬は、それぞれの症状に合わせて使い分けるべきであり、複数の成分が漫然と処方されることは好ましくないという方針からです。また、皮膚科医の視点でお伝えしますと、複数の成分が混ざったお薬は、万が一「薬疹」などの副作用が出た際に、どの成分が原因なのか特定が非常に難しくなってしまいます。

「アリルイソプロピルアセチル尿素」の成分は本当に必要?

一見すると「アリルイソプロピルアセチル尿素」を加えることで鎮痛効果が増強されるように思われますが、市販薬に含まれる「アリルイソプロピルアセチル尿素」の量は1回60mg程度と比較的少量です。この少量の成分のために、わざわざ後述するようなリスクを冒す必要があるのか、私は大いに疑問を感じています。

皮膚科医が最も懸念する「固定薬疹」のリスク

私がこの成分を「不要」と断じる最大の理由は、固定薬疹(こていやくしん)」の原因として非常に有名だからです。

固定薬疹とは、その薬を飲むたびに「いつも同じ場所」に赤い発疹や水ぶくれができる病気です。
最初は小さな赤みでも、繰り返すたびに多発するようになり、広がり、色はどす黒く(色素沈着)残ってしまうケースもあります。

この成分による薬疹は学会でも報告し尽くされており、ほとんどの皮膚科専門医が知っていると思います。私自身も、この成分が含まれるOTC医薬品による薬疹疑いの患者さんを何度か診察してきました。

世界では「NO」を突きつけられている成分

実は「アリルイソプロピルアセチル尿素」は、主要国のほとんどの国で医薬品としての承認が取り消されているか、そもそも流通していません。具体的には、

  • 欧米: FDA(米食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)で承認された医薬品リストには載っておらず、一般的な薬局で購入することは不可能です。1930年代に重篤な血液の副作用(血小板減少性紫斑病)が判明後、すでに承認取り消しや流通停止になっています。
  • オーストラリア(2023年〜): 健康リスクを理由に販売・使用が全面的に禁止されました。
  • 韓国(2025年〜): 依存性の懸念から「麻薬類(向精神薬)」に指定。日本から持ち込むだけで処罰や入国拒否の対象となるリスクがあります。

世界基準で見れば、もはや「過去の、リスクの高い薬」なのです。

日本では、長年の使用実績があることや、配合量が比較的少量(1回量 60mg程度)であることから使用が継続されているようです。

OTC医薬品の「プレミアム化問題」

ドラッグストアで「○○プレミアム」「○○DX」といった高価な方の薬をついつい手に取っていませんか?
『早く効く』『よく効く』といったキャッチコピーに惹かれて「プレミアム化」した方の市販薬を選ぶ人は多いでしょう。

「○○プレミアム」「○○DX」などのプレミアム化された薬剤の多くは、主軸となる成分に他の成分を追加して成り立たせています。例えばですが、「薬剤A」という商品のプレミアム版である「薬剤Aプレミアム」という商品には、「アリルイソプロピルアセチル尿素」「無水カフェイン」「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩」などの成分を加えています。

しかし、成分が増えるということは、それだけ副作用のリスクが増えるということでもあります。

あなたの体を守るための「賢い選択」

「Choosing Simple is Safer」

アリルイソプロピルアセチル尿素を含まない薬を選んでも、鎮痛効果に大きな差はありません。一方で、アリルイソプロピルアセチル尿素を含む薬を選ぶと、固定薬疹などのリスクが生じます。

私からの推奨: ドラッグストアで薬を選ぶときは、パッケージ裏の成分表を見てください。そして、なるべく「単一成分」(イブプロフェンのみ、ロキソプロフェンのみ、アセトアミノフェンのみ、など)の薬を推奨いたします。

「プレミアム」な価格を払って、不要なリスクを買う必要はないと考えます。

※ 2026年6月【修正】 「アリルイソプロピルアセチル尿素」を含有する保険適用薬のSG配合顆粒があることをご指摘いただき修正いたしました。


参考文献

1) https://www.tga.gov.au/safety/safety-monitoring-and-information/safety-alerts/eve-allylisopropylacetylurea-tablets
2) 福田英三ら. 薬疹情報 第21版(1980-2024), 2025.

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