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「アドトラーザ」アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療薬である「アドトラーザ」をご紹介します。

【まとめ】アドトラーザ(トラロキヌマブ)

・アトピー性皮膚炎の治療薬:生物学的製剤(抗体医薬品)
・IL-13の働きを抑えます。
・一定の条件を満たした人(主に重症者)に使用できます。

アドトラーザ(トラロキヌマブ)とは

アドトラーザは、創薬の発展によって作られるようになった生物学的製剤(抗体医薬品)です。
アトピー性皮膚炎の生物学的製剤(抗体医薬品)としては保険適応3剤目となります。
シリンジ製剤が2023年3月に薬価収載されて、同年9月より発売されました。
またペン製剤は2024年11月に薬価収載されて、同年12月に発売されました。

アドトラーザは、抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤です。
アトピー性皮膚炎の炎症を起こす体内の「IL-13」というサイトカイン(細胞間の情報伝達を担う蛋白質)の働きに作用して、過剰な免疫反応を抑えます。


アドトラーザはアトピー性皮膚炎患者さんを対象とした国際臨床試験・国内臨床試験において高い効果を認めました。
投与した患者さんの効果には個人差がありますが、平均的には以下のようなお声を聞くことが多いです。
・投与1ヵ月後「少し楽になった」
・投与2~3ヵ月後「だいぶ痒みがとれて、効いてきた!」「寝れるようになった」「外用の塗布量が減ってきた」
・投与3ヵ月~1年後「いい状態が続いている」「肌がモチモチしてきた」

投与可能な方

アドトラーザの処方や投与は、保険で制限されています。「今までの治療でどうしても治りにくい方に使いましょう」という制限です。もう少し具体的に書くと、

  • 既存治療(ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏など)を6ヵ月以上行っていても症状が強い方
  • 成人(保険治療薬の成人は15歳以上のことを指します)、または12歳以上かつ体重40kg以上の小児

そして、処方できるのは経験豊富な皮膚科医(または経験豊富な皮膚科医が責任者として勤務する病院)のみです(施設要件)。

導入希望の方へ

皮膚症状の重症度を診察にて確認する(重症度のスコア(点数)をつける)必要があります。まずは診察にて医師にご確認ください。

 ⇒ 他院にて導入済みの方で、当院にて処方を継続したい方へ

投与のスケジュール


初回のみ ペン2本(シリンジ 4本)の 600mgとなります。
それ以降は2週間にペン1本(シリンジ 2本)の 300mg の皮下注射を行います。
なお、現在はペンが 300mg/本、シリンジが 150mg/本のみ発売されているため投与する本数が変わりますが、投与量は同じです。

投与中の注意事項

投与中も外用療法を続けましょう

投与中も、湿疹部位にはステロイド外用薬や保湿外用薬などを続けましょう。これらがおろそかになってしまうと、期待していた治療効果が得られなかったり、一度改善した症状が再び悪化してしまうおそれがあります。

投与中は生ワクチンを打たないでください

アドトラーザ投与中は、生ワクチンの接種は避けるようにしてください。代表的な生ワクチンは、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、BCG、水痘・帯状疱疹(乾燥弱毒生水痘ワクチンを使用する場合)、インフルエンザの吸入タイプのワクチン(注射のインフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので問題ありません)などです。分からなければ医師にご相談ください。

アドトラーザの主な副作用

主な副作用は、以下の通りです。

  • アレルギー症状:「かゆみ、じんま疹」などのアレルギー症状を起こすことがあります。ただちに投与を中止して症状が軽い場合には医師に連絡してご相談ください。また、極めて稀ながらアナフィラキシー(全身性のアレルギー)症状を起こすことがあります。「ふらつき、意識の低下、息苦しい」などのアナフィラキシーを疑う症状が出た場合はただちに投与を中止し救急隊の要請を行ってください。
  • 結膜炎:目の赤み、目のかゆみなどの症状がある場合はご相談ください。
  • 感染症(細菌性の結膜炎を含む):上気道感染や結膜炎などの感染症の症状が現れることがあります。のどの痛みなどの風邪に似た症状や、目の赤み、目のかゆみなどの症状がある場合はご相談ください。
  • 注射部位反応:注射をした部位に赤身、腫れ、かゆみなどの症状を生じることがあります。
  • 上記以外でも、何らかの異常が現れたり、症状が悪化したりした場合はご相談ください。

医療費助成制度

お薬の費用は高いと感じられるかもしれませんが、医療費の助成制度を利用できることも多ので、ご自身が当てはまるかお調べください。
自己負担額はこちらを参照ください。

高額医療制度

年収によっては高額医療制度を利用できます。高額医療制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う1か月分(歴月:1日から末日まで)の医療費で上限額を超えた場合、その超えた額が支給されます。
上限は年収により変わります。

付加給付

ご加入の医療保険(保険者)によっては独自の「付加給付」があり、国が定めるよりも手厚い医療費助成を行っている場合があります。
詳しくはご加入の健康保険証に記載されている保険者(健康保険組合等)にご確認ください。

その他

自治体によって子供への医療費補助制度(お問い合わせ先:お住まいの市区町村)や、ひとり親家庭への医療費補助制度(お問い合わせ先:お住まいの市区町村)、大学などの学校によっては学生などへの医療費補助制度(お問い合わせ先:学生課など)が使用できる場合がございます。

他院にて導入済みの方で、当院にて処方を継続したい方へ

転居や、通院先が遠方などの理由で、当院にてアドトラーザの処方を継続したいという患者さんがおられるかと思います。当院でも処方を引継ぐことが可能です。その際は、前医の紹介状(情報提供書)を持参していただくようお願いい達します。

紹介状(情報提供書)には以下の項目を含めてもらうようにお願いいたします。アドトラーザを初めて導入したときの適応要件で、保険の請求のために必須となります。導入された先生も、毎回、保険請求のときに記載されている内容ですのでお話すれば分かっていただける内容かと思います。紹介状(情報提供書)には時間がかかることがありますので、余裕をもって担当の先生にご相談ください。

  • 前治療要件
  • 導入時の「IGAスコア」
  • 導入時の「EASIスコア(全身、頭頸部)」
  • 導入時の「病変割合」

口頭での伝言や、上記の記載がない紹介状(情報提供書)の場合は継続することができません。スムーズな引継ぎのため、何卒よろしくお願いいたします。

再導入をご希望の場合、情報提供書は不要です。ご相談ください。

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