足の裏に小さな陥凹した穴が多数できる「pitted keratolysis」について解説しました。細菌の増殖によっておこります。実際には受診されていない患者さんがたくさんいらっしゃるのではないかと思いますので、疾患啓発のためブログにしました。
「pitted keratolysis(点状角質融解症)」とは?
「pitted keratolysis」は足の裏や手のひらに発生する小さな陥凹した穴(pit)が多数できるのが特徴です。
日本語では「点状角質融解症」「蚕食性角質融解症」などと訳されます。
かゆみなどの自覚症状は通常ないことが多いですが、進行するとヒリヒリする、靴下に張りつく感覚が生じる、臭いがするなどの自覚症状を生じることがあります。
特に、足の親指の付け根、踵(かかと)、足の側面に多く見られます。水虫(足白癬)を併発していることもあります。

※写真掲載は患者さんの許諾を得ています。
原因は?
「pitted keratolysis」は細菌の増殖によって引き起こされます。具体的にはコリネバクテリウム属(Corynebacterium)やマイクロコッカス属(Micrococcus)などの細菌です。
これらの細菌は、湿気の多い環境を好み、角質を分解する酵素を産生すると考えられています。
長時間にわたり通気性の悪い靴や靴下を履く方、汗をかきやすい方(多汗症)、足を十分に洗わない方、高温多湿な環境にいる方は罹患リスクが高いです。
治療法
「pitting keratolysis」の治療は、抗菌薬の外用です。また、生活習慣の改善も効果的です。
抗菌薬の外用では、クリンダマイシン、ナジフロキサシンなどが用いられています。また重症例では内服の抗生剤治療を行っている例もあります。
生活習慣の改善として、足を清潔にする、靴下を1日2回変える、吸湿性の高い靴下(綿やウール)を選ぶ、通気性の良い靴を履く、靴を毎日変える(連日同じ靴を履かない)などを行いましょう。
また、多汗があれば塩化アルミニウム液などを使用して足の汗を抑える治療も有効です。
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参考文献
1) 浅井俊弥. 皮膚病診療 32, 1341. 2010