ニキビ治療薬の過酸化ベンゾイル(benzoyl peroxide: BPO)に新しい剤型が発売されました。「ベピオウォッシュゲル5%」についてご紹介します。
【まとめ】「ベピオウォッシュゲル5%」
・ニキビの治療薬
・ショートコンタクトセラピー:有効成分を皮膚に短時間接触させる治療法
・皮膚刺激症状の低減が期待できる
・衣類の脱色がおこりにくい使用方法
過酸化ベンゾイルとは?
過酸化ベンゾイルは、ニキビ初期のコメド(面皰)をできにくくする塗り薬です。
具体的には、毛包の開口部の皮膚を軽く剥離させる(ピーリング作用)ことで、皮脂の詰まりを生じさせなくします。
それに加えて、抗菌作用も有しています。

ベピオウォッシュゲル5%
ベピオウォッシュゲルは、ベピオの三つ目の剤型です。
一つ目の剤型の「ベピオゲル」は2015年4月に発売、次に「ベピオローション」が2023年5月に発売、そして「ベピオウォッシュゲル」が2025年6月16日に発売されました。

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ベピオウォッシュゲル5%は本邦初のショートコンタクトセラピーのニキビ治療薬です。
ショートコンタクトセラピーとは、有効成分を皮膚に短時間接触させる治療法で、刺激感などの副作用を低減しながら治療効果を発揮する方法です。
具体的には、ベピオウォッシュゲルを1日1回、洗顔後に顔に塗り、5~10分後に洗い流します。
また、顔以外にも使用可能です。同様に塗布後、5~10分後に洗い流します。
ベピオは布製品(衣類、枕、シーツなど)に付着すると脱色を起こすため、洗い流すベピオウォッシュゲルは脱色しにくい方法だと思われます。
ベピオウォッシュゲルの副作用
およそ1%の方に「接触皮膚炎(かぶれ)」を起こします。
その場合、強いかゆみ、ジュクジュクした腫れが生じます。そのような場合は中止が必要です。
医師にご相談ください。
また、一部の方に「刺激症状」が出ます。
刺激症状とは、一時期に出現する、かわむけ、乾燥、赤み、ヒリヒリ感です。
一般的に数週間後くらいがピークとなり、徐々に軽快、1ヵ月を過ぎると刺激を感じる頻度は減っていきます。
5~10分の過ごし方
ベピオウォッシュゲルは塗布して5~10分待つ必要がありますが、洗面所や浴室の中に限らず、どこで待っていても構いません。
スマホやテレビを見たり、家事をしたりするなど自由に時間をつかってください。
浴室は湿度が高いので塗布した外用薬が垂れる可能性があります。目に入ったり、まぶたに付いたりした場合にはすぐに水でよく洗い流してください。
胸や背中などの体幹に塗る場合の工夫です。
5~10分、浴室で洗髪しながら待ってもよいでしょう。
衣類を着て待つ場合には「白色」のものを選んだり、「色がぬけてもよい専用の古い衣類」を準備してもよいでしょう。
5~10分はタイマーを用いることをお勧めします。
もし洗い流すのを忘れて10分以上経過した場合には、気づいた時点ですぐ洗い流してください。いつもと違う刺激症状や違和感を感じた場合は、受診してご相談ください。
そのほかの注意事項
保管法
室温(1~30℃)で保管しましょう。
車内や浴室など、直射日光の当たる場所や高温になる場所には置かないでください。可能であれば冷蔵庫での保管をお勧めします。特に夏場は室内でも25度を超える可能性があるので、冷蔵庫で保管しましょう。
脱色に注意
ベピオは脱色作用があります。
お薬がつく可能性のある衣類やタオルは白色を選ぶとよいでしょう。
また、洗い流す際に周囲に薬剤が飛び散る可能性があるため、布類の脱色に注意してください。
日焼対策
過酸化ベンゾイルの使用中は、刺激を感じやすいため日やけ対策をしてください。
