手湿疹(手あれ)は、かゆみや赤み、ひび割れなどを生じて、見た目以上に日常生活に支障をきたすつらい疾患です。発症すると完治しにくい病気の一つです。症状が軽いうちに対処することで、悪化や慢性化を防ぐことができます。どうぞお気軽にご相談ください。
【まとめ】手湿疹
・主婦の方、美容師の方、医療従事者の方に多い
・発症すると繰り返しやすい
・ステロイド外用薬、保湿が治療の主体
・ときには抗ヒスタミン剤の内服、JAK阻害薬外用、PDE阻害薬外用、紫外線療法などを用いる
・生活習慣の見直しも重要
・日常のスキンケアを習慣化
手湿疹の分類
手湿疹は、原因や症状の現れ方によっていくつかのタイプに分けられます。
- 外部刺激によるもの(刺激性接触皮膚炎):洗剤、水、シャンプー、消毒液などの物理的刺激によるもの。日常的に使う化学物質が皮膚を刺激して湿疹を引き起こすことがあります。主婦の方、美容師の方、医療従事者の方で、手を頻繁に洗う職業の方に多いです。
指先に刺激が加わり、指先から主体に手に湿疹を生じる症状を「進行性指掌角皮症(しんこうせい-ししょうかくひしょう)」と言います。 - アレルギー性のかぶれ(アレルギー性接触皮膚炎):金属(ニッケルなど)やゴム、化粧品の成分にアレルギー反応を起こす場合もあります。例えば、指輪やゴム手袋でかぶれた経験はありませんか?当院ではかぶれの原因を探るため、パッチテストを行うことがあります。
- アトピー性皮膚炎に伴うもの:アトピー性皮膚炎の既往がある方は、手湿疹になりやすい傾向があります。
- 異汗性湿疹(汗疱型):小さな水ぶくれができて湿疹化する疾患です。
- 貨幣状湿疹:貨幣状湿疹の症状が手に生じることがあります。
原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡むこともよくあります。
治療法について
手湿疹の治療は、原因・悪化因子の回避、炎症を抑える薬物治療、保湿により皮膚のバリア機能を回復させることが基本です。
1. 抗炎症外用薬による治療
ステロイド外用薬:炎症の強さに応じて強さを調整します。症状が強い場合には密封療法(ODT)を併用することもあります。
また、症状が長引いている方には、プロアクティブ療法(症状が落ち着いても定期的に外用を続ける方法)を提案することもあります。
非ステロイド抗炎症外用薬:アトピー性皮膚炎で用いられるJAK阻害薬外用薬、PDE阻害薬外用薬を用いることがあります。
これらの外用薬は炎症を抑える力が弱いので、症状がよほど軽快しないかぎり当院ではステロイド外用薬と併用して用いています。皮膚のバリアー機能を回復させる作用もあると考えられています。
2. スキンケア
保湿剤(ヘパリン類似物質・尿素軟膏など):皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を回復させます。
当院ではハンドクリームの販売も行っております。
・「ノブ ハンドベール D 50g」
院長も愛用!べたつかないので塗った直後に処置手袋をしても問題なし。
診察なく受付にて購入できます。

3. 抗ヒスタミン薬
かゆみが強い場合や夜眠れない場合には、かゆみ止めとして抗ヒスタミン薬を併用することがあります。かゆみを完全に抑えることはできないので、あくまで外用薬の補助と考えてください。
3. 紫外線療法
時には紫外線療法(エキシマライト、ナローバンドUVB)を併用することがあります。
紫外線療法については診察時に医師にご相談ください。
生活習慣の見直し
手指は日々さまざまな物質に触れるうえ、頻繁な洗浄によって刺激を受けやすい部位です。そのぶん、肌を守るための予防やケアがとても大切です。
- 手袋の使用:水仕事の際は綿手袋+ゴム手袋の二重装着をおすすめしています。
- 低刺激の洗剤や石けんの選択する。
- 手洗い後の保湿習慣の徹底する。
- 可能であれば食洗器や全自動洗濯機などの機器を導入して、炊事や洗濯などの仕事の減らす。
- 良くなっても油断せず、普段からのスキンケアを続ける。
