じん麻疹(蕁麻疹)の治療薬である「デュピクセント」をご紹介します。
【まとめ】デュピクセント(デュピルマブ)
・特発性慢性蕁麻疹の治療薬:生物学的製剤(抗体医薬品)
・「特発性」とは原因不明のこと
・IL-4とIL-13の働きを抑えます
・アトピー性皮膚炎、結節性痒疹、喘息などでも用いられています
2024年2月、特発性の慢性じん麻疹の患者さんにデュピクセントが使えるようになりました。
「ゾレア(オマリズマブ)」に続き特発性の慢性蕁麻疹に使用できる生物学的製剤(抗体医薬品)となりました。
特発性の慢性じん麻疹とは?
特発性とは「症状を誘発する原因が特定されない方」という意味です。
じん麻疹の70~80%程度は「原因が不明」といわれています。
デュピクセント(デュピルマブ)とは

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デュピクセントは、近年の創薬の発展によって作られるようになった生物学的製剤(抗体医薬品)です。
2型炎症のサイトカインである「IL-4」と「IL-13」の働きを抑えます。
皮下に注射するお薬です。

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デュピクセントは、2018年から「アトピー性皮膚炎」に使用されており、その後も「気管支喘息」「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」「結節性痒疹」でも追加承認されております。
そのため、一定の使用経験が蓄積されたお薬です。
私自身、アトピー性皮膚炎・結節性痒疹の患者さんに既に何十例と使用している薬剤で、その有効性を実感してきました。
投与可能な方
- 既存治療で難治な慢性蕁麻疹の患者さん
- 成人(保険治療薬の成人は15歳以上のことを指します)
臨床試験に組み入れられた患者さんに準じた重症度以上の方が主な対象となります。その他にも投与がふさわしくないケースもあるため、使用にあたっては主治医とご相談ください。
導入希望の方へ
診察時に医師に申し出てください。
投与のスケジュール
投与間隔は2週間に1回皮下注射を行います。
初回のみ2本となりますが、それ以降は1本です。

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ご自宅で自己注射が可能ですが、はじめの数回は当院にて打ち方の指導をいたします。
デュピクセントの主な副作用
主な副作用は、以下の通りです。
- 注射部位反応:注射をした部位に発疹、腫れ、かゆみなどの症状を生じることがあります。
- 結膜炎:目やまぶたの炎症症状(赤み、腫れ、かゆみ、乾燥など)がみられる場合があります。
- 好酸球増多症:血液中の好酸球数が一時的に上昇する。
その他、重篤な副作用としてアナフィラキシーを起こす可能性がありますが頻度は稀です。
寄生虫に対する抵抗力が弱まり、寄生虫感染をしやすくなる可能性もあります。寄生虫感染が治癒するまで本剤の投与を一時中止することがあります。
医療費助成制度
お薬の費用は高いと感じられるかもしれませんが、医療費の助成制度を利用できることも多ので、ご自身が当てはまるかお調べください。
自己負担額はこちらを参照ください。
高額医療制度
年収によっては高額医療制度を利用できます。高額医療制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う1か月分(歴月:1日から末日まで)の医療費で上限額を超えた場合、その超えた額が支給されます。
上限は年収により変わります。
付加給付
ご加入の医療保険(保険者)によっては独自の「付加給付」があり、国が定めるよりも手厚い医療費助成を行っている場合があります。
詳しくはご加入の健康保険証に記載されている保険者(健康保険組合等)にご確認ください。
