じん麻疹(蕁麻疹)の治療薬である「ゾレア」をご紹介します。
【まとめ】ゾレア(オマリズマブ)
・じん麻疹の治療薬:生物学的製剤(抗体医薬品)
・IgEの働きを抑えます
・特発性の慢性蕁麻疹で難治な方が対象
ゾレア(オマリズマブ)とは

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今までの治療法で十分な効果が得られない特発性の慢性蕁麻疹に対して、生物学的製剤(抗体医薬品)が使用できます。
2016年6月に「気管支喘息」の治療薬として販売されたゾレアが、2017年3月に「特発性の慢性蕁麻疹」の治療薬として効能追加承認を取得しました。なお、「特発性」とは原因が明確にならないという意味です。
蕁麻疹は、血液中のIgEと呼ばれる物質などが、皮膚にあるマスト細胞を活性化することで生じます。刺激されたマスト細胞は、ヒスタミンやロイコトリエンなどの炎症をおこす化学物質(炎症性メディエーター)を放出し、痒みを生じて皮膚に膨疹、紅斑といった皮疹を生じます。
血液中のIgEゾレアは血中や皮膚内の遊離IgEに結合し、肥満細胞および白血球の一種である好塩基球の活性化などを抑制することで、特発性の慢性蕁麻疹の症状を抑制すると考えられています

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ゾレアは特発性の慢性蕁麻疹患者さんを対象とした国際臨床試験・国内臨床試験において高い効果を認めました(臨床試験の結果の解釈は専門的知識が必要であり注意が必要であるため、ここでは具体的な数値を記載しません)。
投与可能な方
ゾレアは蕁麻疹の患者さん全員に使用できるわけではありません。以下の方が対象となります。
- 成人(保険治療薬の成人は15歳以上のことを指します)および12歳以上の小児
- 蕁麻疹の症状を誘発する原因が特定できない方
- 抗ヒスタミン薬などの適切な治療を行っても、日常生活に支障をきたすほどの痒みを伴う場合
投与可能かどうかは、診察にてご相談ください。
投与のスケジュール
1回300mgを4週間ごとに皮下に注射します。
症状をコントロールして、活動的な日常生活を送ることを目指します。
自己負担額はこちらを参照ください。
ゾレアの主な副作用
主な副作用は、以下の通りです。
- 注射部位反応:注射をした部位に発疹、腫れ、かゆみなどの症状を生じることがあります。
- その他、重篤な副作用としてアナフィラキシーを起こす可能性がありますが、頻度は稀です。