「リンデロン」という名前のつく外用薬は種類があり、誤解を招く可能性があるため注意が必要です。
【まとめ】塗り薬の「リンデロン」には種類がある!
~名前は似ているけど全く違うリンデロン~
・「リンデロン」は種類によって成分や強さが大きく異なる
・「語尾のアルファベット」と「有効成分の一般名称」を確認
・部位や症状に合わないステロイド外用薬の使用は、副作用や症状悪化を招くリスクがある
皆さんは、ご家庭の薬箱に「リンデロン」と名前のつく塗り薬が眠っていませんか?
「以前、皮膚のかゆみでもらったから」「家族が使っていたから」と、似たような症状に何気なく使ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私たち皮膚科医がヒヤッとするのが、このリンデロンを自己判断で塗ってしまうことなのです。
「リンデロン」は商品の名称ですが、実はこの「リンデロン」には、保険の処方薬だけでも「リンデロンV」「リンデロンVG」「リンデロンDP」「リンデロンA」など、語尾にアルファベットがついた似た名前の薬がたくさんあります。
これらは名前こそ似ていますが、中身も強さのランクも異なります。
また、薬局で購入できる外用薬にも「リンデロン」という名前にアルファベットがついた似た名前の薬(「リンデロンVs」「リンデロンVsプレミアム」)が売られています(執筆時点の2026年1月現在)。
保険の処方薬の「リンデロン」
リンデロンV
有効成分は「ベタメタゾン吉草酸エステル」です。
個人的に最もスタンダードだと思う外用薬です。
リンデロンVは5段階のうち 「Ⅲ群:ストロング」 に分類されます。
ステロイド成分のみが含まれており、湿疹・皮膚炎などの炎症を抑えるのに用います。

リンデロンVG
「ベタメタゾン吉草酸エステル」と「ゲンタマイシン」の配合剤です。
つまり上記の「リンデロンV」に、「ゲンタマイシン」という抗生物質が含まれた外用薬です。
よって、リンデロンVGに含まれる「ベタメタゾン吉草酸エステル」は「リンデロンV」同様、5段階のうち 「Ⅲ群:ストロング」 に分類される強さのステロイド外用薬です。
末尾の「G」は「ゲンタマイシン」とを意味します。
慣習的に多くの医師が処方しています。

リンデロンDP
有効成分は「ベタメタゾンジプロピオン酸エステル」です。
5段階のうち「Ⅱ群:ベリーストロング」 に分類されます。
「リンデロンV」よりも一段階、ステロイドのランクが強いお薬です。

リンデロンA(Aは点眼・点耳用)
リンデロンAは「眼科・耳鼻科用」のお薬です。
「ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム」というステロイドに、「フラジオマイシン硫酸塩」という抗生物質が配合されています。
皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024」に掲載されるステロイド外用薬のランク表に「ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム」の記載はありませんが、5段階のうち「Ⅴ~Ⅳ群:ウィーク~ミディアム」相当と考えられます。
同じリンデロンだからといって、皮膚用のVやVGを目の中に塗ることは絶対にしてはいけません。
逆に、皮膚の広範囲の炎症にリンデロンAを使っても、十分な効果が得られないことが多いです。

市販薬の「リンデロン」
市販薬のなかにも「リンデロン」と名の付く外用薬があります。使用するステロイドの強さがわからないまま外用するのは好ましいことではなく注意が必要です。
「ステロイド外用薬」は本来であれば医師の処方のもとで使用するのが望ましいと院長は考えています。
同じ薬でも、塗る部位によって効き方が変わります。たとえば「強め」とされる薬でも、手足の湿疹では十分に効果があらわれないことがありますし、逆に顔の湿疹では強力に作用してしまうこともあります。
また、病気の種類によっても必要な強さは異なります。強めの薬を使わないと改善しにくい疾患もあれば、弱めの薬でも十分に効果が得られる場合もあります。
迷われるようであれば、皮膚科の専門医をもつ医師の受診をお勧めします。
皮膚科専門医とは?
世の中にはたくさんの医学会がありますが、その多くは、医師であれば会費を支払うことで学会に所属することができます。しかし、「皮膚科専門医」は、ただ学会に入っているだけでは取得できません。
皮膚科専門医になるためには、日本皮膚科学会が認めた研修施設(大学病院など)で、5年以上の研修が義務付けられています。その他、学会発表・論文などの研鑽を積まなければなりません。これらの条件をすべてクリアして、初めて「専門医試験」を受ける資格が得られ、専門医試験に合格して晴れて「皮膚科専門医」になれます。
皮膚の病気は、ぜひ皮膚科専門医にご相談ください。また、最近は多くの医療情報が溢れていますが、ホームページなどを見る際は、その医師が「学会に所属しているだけ」なのか、研修を積んだ「皮膚科専門医」なのかを確認することも、安心できるクリニック選びの大切なポイントです。
まずは「語尾」と「一般名」を確認
お薬の名前に「リンデロン」と書いてあったら、まずは「語尾に何がついているか」「有効成分の一般名称」を確認してみてください。
そして、もしそれが「いつ開封したか分からないもの」「何の目的でもらったか分からないもの」であれば、使用せずに皮膚専門医にご相談ください。
なお、開封したら記載の使用期限よりも品質が保たれないので、開封後6ヵ月したものは使用しないようにしましょう。
