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当院を受診してくださった舌下免疫療法の患者さんへ

診察時間が限られるため、よく受ける質問を補完するために作りました。
治療の参考にしてください。

1) 副反応・体調変化について

Q 副反応は30分を超えれば無いか?

舌下投与の副反応は投与後30分以内が多いですが、それ以降でも起こることがあります。気になる症状があればご相談ください。

Q 舌下直後に舌下(投与部位)が腫れた

治療患者の10%以上に出る副反応です。舌下部以外の口腔内の腫れが無いかを確認して、舌下だけの腫れならば様子を見てください。多くは15分から30分で改善します。強い腫れがあれば状態を写真にとって、次回受診時にお見せください。腫れが広がらないかを確認して、なかなか腫れがひかない時には事前にお渡ししている抗ヒスタミン薬を追加で服用してください。
症状が強い場合は、「吐き出し法」への変更も検討しますので、次回受診時にご相談ください。

Q 舌下直後に口が痒い・ビリビリする、違和感がある

よくある症状のひとつです。口の中(特に舌下)が腫れていないかよく確認してください。ほとんどの例で数日間舌下投与すると消失します。次回受診時にご相談下さい。翌日も治療は継続してください。
症状が強い場合は、「吐き出し法」への変更も検討しますので、次回受診時にご相談ください。

Q 舌下直後に鼻みずなどの鼻炎症状が出た

舌下直後の鼻炎症状はよくあります。経過観察してください。止まらない場合には抗ヒスタミン薬を服用してください。耳のかゆみや眼のかゆみも出やすいです。

Q 舌下直後に咳がでた

軽い咳は経過を見ながら継続を判断しますので、継続して構いませんが、受診時に相談しましょう。

Q 喘息症状がでた

喘息が出現した場合には発作が治まるまで舌下免疫療法の治療を中断してください。改善が確認されてからでないと治療を再開できません。必ず当院に受診して相談してください。

Q 胃腸症状がでた

時に見られる症状です。舌下投与後に飲み込む投与法を吐き出す方法(後述:吐き出し法)に変えると改善する事も多いので、次回受診時に医師にご相談下さい。

Q じん麻疹がでた

・投与直後に全身に出た場合: すぐに処方されている抗ヒスタミン薬を服用し、以降の投与を中止して、受診のうえ相談してください。
・食べ物などが原因の急性蕁麻疹の場合: その日は投与を休み、手持ちの抗ヒスタミン薬で症状が治まるまで様子を見てください。治まれば翌日から再開可能です。

Q アトピー性皮膚炎が悪化した

舌下免疫療法でアトピー性皮膚炎が一時的に悪化することがあります。軽度なら治療継続で元に戻ります。ひどく悪化した場合には、舌下投与を中止してご相談ください。

2) 投与方法・スケジュールについて

Q 忘れたり休薬してしまったら?(翌日の投与法は?)

舌下投与を忘れた場合には、翌日の投与量を増やしたりせずに、引き続き「1日1回」の投与にしてください。

Q 長期間休薬してしまったら?

・1週間程度の休薬: 同じ量で再開して構いません。休んだ分をまとめて過剰に飲まないでください。
・治療開始1ヶ月以内の休薬: 当院に相談してから再開してください。

Q どの時間帯に舌下投与するとよいか?

万一を想定すると病院が開いている昼間の投与が理想ですが、生活習慣にあわせて決まった時間に投与するとよいでしょう。
注意: 舌下投与後2時間の激しい運動は禁止です。体育のある学生や自転車で通勤通学をする場合には、帰宅後に投与するとよいでしょう。

Q 毎日同じ時間に舌下投与しないといけないか?

忘れやすいので毎日同じ時間帯にするように心がけて欲しいですが、投与時間が異なっても構いません。運動をするので時間を遅らせるなど、朝になったり、夜になったりしても構いません。

Q 規定時間以内に飲み込んでしまったら?

その日は追加せずに終了してください。翌日に続きから行なってください。

Q 誤って多く舌下投与してしまったら?

・治療初期に高濃度薬を誤って投与した場合: 吐き出してうがいをしてください。強い副反応がなければ翌日に続きを行って下さい。
・1日2回飲んでしまった場合: 強い副反応がなければ、翌日も予定通り行ってください。

Q 薬剤が欠けたり、溶けて、予定量より少なく舌下投与してしまったら?

その日は補充せずに、少ないままで舌下してください。翌日は予定通りに行なってください。

Q 年間の治療を予定しているか?

効果の判定を治療開始後1~2年で行ないます。効果のあるかたには合計3~5年程度の治療を勧めます。

3) 日常生活・併用薬について

Q 前回処方薬がなくならないと薬をもらえないの?

ご予定があるためなどの理由で多少の薬が残っていても、処方いたします。薬の無くなる前に受診してください。毎回同じ曜日に来なくても大丈夫です。ただし、あまりに処方日が近い受診の場合は、保険の審査が通らないため処方はできません。

Q 治療中にアレルギー症状がある時の対応は?(鼻や眼に症状が出たら?)

その際には舌下薬以外の適切な薬物治療を併用しましょう。ただし、内服ステロイドだけは併用を避けてください(短期間使用は可能)。内服ステロイドの使用が必要な場合は、事前に医師にご相談ください。

Q 喘息やアトピー性皮膚炎など、他のアレルギーへの対応は?

喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患があるかたは、舌下免疫治療中もその疾患の治療を継続してください。多くの薬は併用可能ですが、念の為に受診時に治療薬を教えてください。
注意:重度」の喘息やアトピー性皮膚炎がある方は、舌下免疫療法を行えない場合があります。医師にご相談ください。

Q 発熱したら?

発熱のある日には中止し、解熱してから再開しましょう。インフルエンザなどでは解熱後すぐに開始せずに感染期間は休んでください。

Q 舌下後にすぐ歯磨きはできる?

舌下後5分程度してからの歯磨きは可能です。

Q 歯科治療時の注意点は?

・歯をけずる程度: 問題ありませんが、歯科治療後は翌日まで舌下投与しないでください。唾液に血の混じる歯科治療であれば、口腔内の傷が治るまで舌下しないでください。
・切開や抜歯などの治療: 舌下治療を約1週間中止します。

Q 口腔内をけがしたら?

傷があれば舌下液が直接傷口から入るので、傷が治るまで舌下治療を休みます。口内炎も休薬してください。

Q 国内旅行にいくときは?

1週間以内の旅行なら、薬を持参せずに休薬も可能です。長期の旅行の場合には薬の持参を考慮してください。宿泊を伴う学校行事は、薬を持参せずにその前後でするとよいでしょう。

Q 海外旅行に行くときは?

・1週間以内: 持参せずに、帰国後に再開してください。
・1週間以上: 当院にご相談ください。

Q 予防接種(インフルエンザワクチンなど)は打ってよいか?

舌下免疫療法中もインフルエンザワクチンや他のワクチンを打てます。ただし、注射と舌下投与は数時間以上あけて行なうようにしましょう。

Q 治療中に妊娠したら?

妊娠しても治療継続可能ですが、妊娠が判明したら、一旦治療を中止して、早めに来院してください。

Q 薬が目に入ってしまったら?(薬のついた手で眼をこすったら?)

すぐに流水で眼を洗い、眼症状が強ければ、当院か眼科に受診してください。

舌下免疫療法の「吐き出し法」

舌下免疫療法の「吐き出し法」とは、服用時に口の中のむくみやかゆみ、喉の刺激感などの副作用が強く出た場合に、薬を飲み込まずに吐き出すことで副反応を軽減させる方法です。通常は舌の下に1分間保持して飲み込む治療ですが、副作用が続く場合は、1分経った後に吐き出し、その後5分間は飲食・うがいを控えることで、治療を継続しやすくなります。

「吐き出し法」の目的と方法

【目的】 軽度~中等度の口内炎、喉のイガイガ感、かゆみなどの副作用を軽減し、治療を中断させないようにする。
【適応】 服用開始後1ヶ月以内に多い、口の中の不快感や喉の刺激感などの副作用が続く場合。ときには、風邪などで体調が悪い時や、口の中に異常がある場合に休薬する代わりに、医師の指示のもとで行うこともあります。
【方法】 薬を舌の下に1分間保持した後、飲み込まずに吐き出す。その後、5分間は飲食やうがいをしない。
【注意】
・通常の方法と同様に、重大な副作用(アナフィラキシーショックなど)の兆候(顔面蒼白、呼吸困難、全身の蕁麻疹など)が見られた場合は、直ちに医療機関を受診してください。
・「通常の方法(飲み込み法)」へ戻すタイミングは、口腔内の副作用(口の中の腫れ、かゆみ、違和感など)が改善し、症状が落ち着いたときとなります。 変更のタイミングは医師に相談し、指示を仰いでください。


参考文献

1) 湯田 厚司ら. 日耳鼻免疫アレルギー感染症会誌. 2: 25–30, 2022