ステロイド外用薬とは?

ステロイドとは、もともと私たちの体の中で「副腎」という臓器がつくっているホルモン(コルチゾール)と同じような働きをする物質で、炎症を抑える力が非常に強いです。
医療では人工的に作られたステロイドを薬として利用しています。
外用薬は「塗り薬」の形で皮膚に直接使うものを指します。
皮膚に「炎症」が起きると、赤み・腫れ・かゆみが出ます。
ステロイド外用薬はこれらの炎症反応を抑えることで、症状を改善し、皮膚を落ち着かせる働きをします。
例えるなら炎症は「火事」で、ステロイド外用薬は「消防隊」です。

よって、ステロイド外用薬は炎症を抑えることで「皮膚の赤みや腫れを改善する」「かゆみを軽減する」効果があります。
適切に使用すれば非常に有用な薬です。
ステロイド外用薬の強さのランク
ステロイド外用薬には「強さ」の違いがあります。
日本では一般的に以下の5段階に分けられています。
- 1群:ストロンゲスト
- 2群:ベリーストロング
- 3群:ストロング
- 4群:ミディアム
- 5群:ウィーク
症状の重さや塗る部位によって、医師が適切な強さを選びます。
具体的な商品とランクはこちらの一覧を参照。
ステロイド外用薬の塗り方
外用薬の塗る量の目安で最も有名な指標は「FTU(Finger Tip Unit)1」です。また昔から「ティッシュがひっつくくらい」「軽くテカるくらい」が塗り薬の適量と表現されます。以下の記事で説明しております。
Q 夜だけ塗るのと朝晩塗るのと、どっちがいいですか?
症状が強いときは朝晩2回、軽くなってきたら夜だけ1回にします。症状がよくなってきたら、スパッと終わりにしても構いません。ただし再燃を短期に繰り返す方は、いきなり中止せずに2〜3日に1回の外用を1~2週程度はさんでからやめるとよいでしょう。
Q どのタイミングで塗ればよいの?
特に決まったタイミングがあるわけではありませんが、お風呂上がりの夜に1日1回塗るのを基本としてください。
テープ剤、シャンプー剤、混合剤
ステロイド外用薬のなかには、軟膏・クリーム・ローション以外の形態の商品がありますので、ご紹介します。
ステロイドのテープ剤
ステロイドのテープ剤は、盛り上がりの強い痒疹、肥厚性瘢痕、ケロイドなどに用いられます。
代表例:「エクラープラスター」「ドレニゾンテープ(販売中止)」
ステロイドのシャンプー剤
頭皮の湿疹や乾癬に対してステロイドのシャンプー剤を用いることがあります。
代表例:「コムクロシャンプー」
ステロイド剤と活性型ビタミンD3製剤の混合外用剤
主に尋常性乾癬に対してステロイド剤と活性型ビタミンD3製剤の混合外用剤が用いられます。
代表例:「ドボベット」「マーデュオックス」
抗生物質の配合されたステロイド外用剤
抗生物質が配合されたステロイド外用剤は、細菌感染を伴う湿疹や皮膚炎などの治療に使われることがあります。近年は耐性菌の問題、抗生物質による接触皮膚炎(かぶれ)を起こすことがあることから、使用頻度は減少していると思われます。
代表例:「リンデロンVG(Gがゲンタマイシンという抗生物質を表す)」「ネオメドロールEE」
ステロイド外用薬の副作用
「ステロイドは怖い」と思われる理由のひとつが副作用です。
確かに、長期間・大量に使うと皮膚が薄くなる、赤みが続く、毛細血管が目立つなどの副作用が出ることがあります。
しかし、医師の指示通りに使えば副作用のリスクは非常に低いです。
むしろ「怖いから」と自己判断で塗る量を減らしたり中止したりすると、病気が遷延して治りにくくなったり、悪化してしまうことがあります。
「ステロイド=怖い」「ステロイド=悪」ではなく、適切な使用により「とても頼もしい味方」になると知っていただけたら嬉しいです。
ステロイド外用剤は、使用方法や期間によって以下のような副作用(代表的なもの)が現れることがあります。
- 皮膚の萎縮(皮膚が薄くなる)
長期間同じ部位に強いステロイドを使用すると、皮膚が薄くなり、衝撃に弱くなったりします。 - 毛細血管拡張
赤い細い血管が皮膚表面に目立つようになることがあります。 - 皮膚感染症の悪化
ステロイドは免疫反応を抑えるため、細菌・真菌(カビ)・ウイルスによる感染症が悪化することがあります。 - 酒さ様皮膚炎
顔に「酒さ」という病気に類似した赤みやブツブツが出ることがあります。 - 多毛
使用部位の毛が濃くなったりすることがあります。
これらの副作用は「塗った部位(局所)」の副作用です。ステロイド外用薬では、全身に吸収されて影響がでることは稀です。
ステロイドの副作用を検索すると、内服や注射によっておこる全身性の副作用がでてくると思いますが、「塗った部位(局所)」の副作用がほとんどです。間違わないようにしてください。
ステロイド外用薬にみられる「よくある誤解」
日々、皮膚科の診療を行っていると、ステロイド外用剤は色々な誤解を受けていると感じています。こちらでは代表的な誤解について解説します。
●「ステロイドは依存性がある」
→ ✕ ステロイド外用薬には依存性はありません。
●「ステロイドを塗ると黒くなる(色素沈着になる)」
→ ✕ 色素沈着になる(黒くなる)ことはありません。
ステロイドを塗って黒くなった場合、それは炎症後の色素沈着です。
冒頭の例えでいえば、炎症という火事の後に残った黒い焼け野原です。
そのため、湿疹という炎症を早めに抑える方が色素沈着になりません。
むしろ、ステロイド外用薬には稀ながら色素脱失の副作用があります。
●「ステロイドを塗ると病気が治らない」
→ ✕ 炎症を抑えることで皮膚を回復させる環境を整えます。
根本的な原因治療ではありませんが、症状を改善するために必要です。
●「市販薬と同じように使っていい」
→ ✕ 医師が症状や部位に合わせて処方します。
自己判断で強さを変えたり、他人の薬を使うのは危険なため行わないでください。
ステロイド外用薬のQ&A
Q 赤ちゃんや子どもにも使えますか?
はい、赤ちゃん(乳児)や子どもの皮膚炎にもよく使われます。
炎症を放置すると皮膚がどんどん硬くなったり色素沈着になったりしますので、医師が適切なランクを考えステロイド外用薬を処方いたします。
Q 妊娠中・授乳中でもステロイド外用薬は使えますか?
はい、必要に応じて使えます。
医師がステロイド外用薬を選びますので、妊娠中・妊娠中の方は申し出てください。
Q 保湿剤と一緒に使ってもいいですか?
重ね塗っても問題ありません。
ステロイドで炎症を抑え、保湿剤で皮膚を守ることで治療効果が高まります。
Q ステロイドを塗った上からメイクしてもいいですか?
顔の症状が落ち着いてきたら大丈夫です。ただ、炎症が強いときはメイクで悪化することがあるので、まずは皮膚の症状を治すことを優先しましょう。
メイクがOKになったら、保湿 → ステロイド → 日焼け止め → メイクの順番がおすすめです。
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ステロイド外用薬の商品とランク
以下は、ステロイド外用薬のランクと成分名(おもな商品名)の一覧表です。
- 1群:ストロンゲスト
0.05% クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート®)
0.05% ジフロラゾン酢酸エステル(ジフラール®、ダイアコート®) - 2群:ベリーストロング
0.1% モメタゾンフランカルボン酸エステル(フルメタ®)
0.05% 酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(アンテベート®)
0.05% フルオシノニド(トプシム®)
0.064% ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP®)
0.05% ジフルプレドナート(マイザー®)
0.1% アムシノニド(ビスダーム®)
0.1% 吉草酸ジフルコルトロン(テクスメテン®、ネリゾナ®)
0.1% 酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(パンデル®) - 3群:ストロング
0.3% デプロドンプロピオン酸エステル(エクラー®)
0.1% プロピオン酸デキサメタゾン(メサデルム®)
0.12% デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ®、ザルックス®)
0.1% ハルシノニド(アドコルチン®)
0.12% ベタメタゾン吉草酸エステル(ベトネベート®、リンデロンV®)
0.025% ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(プロパデルム®)
0.025% フルオシノロンアセトニド(フルコート®) - 4群:ミディアム
0.3% 吉草酸酢酸プレドニゾロン(リドメックス®)
0.1% トリアムシノロンアセトニド(レダコート®、ケナコルトA®)
0.1% アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(アルメタ®)
0.05% クロベタゾン酪酸エステル(キンダベート®)
0.1% ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド®)
0.1% デキサメタゾン(グリメサゾン®、オイラゾン®) - 5群:ウィーク
0.5% プレドニゾロン(プレドニゾロン®)